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ウォルター・デ・マリア を偲ぶ。
この椅子に座って、彼の作品<ライトニング・フィールド>を鑑賞した。
遠い地平線を背景に400本のステンレススティールのポールが刺さる。
ニューメキシコ州の砂漠の真ん中。雷がそれに落ちて光の連鎖を創る。
想像する。
こちら側に木造の小さな家が一軒あり、冷蔵庫にはステーキと赤ワイン。
外で火を熾し肉を焼く。勿論宿泊できる。視界に入るものはこの椅子一脚。
稲妻は見られなかったが、夜空には満天の星、夜中には狼の遠吠え。
砂漠のど真ん中で、たった一人ぼっち。
貴重な時 禅 又は 星の王子様 体験ができる。
脱画廊、美術館システムを破壊しようとする意味合いもある。
彼とはニューヨーク、イーストヴィレッジの近所同士で
僕は10丁目の古いビルのロフト、彼は廃教会(シナゴーグ)のアトリエ。
我がロフトは ウィリアム・ドゥ・クーニンの元アトリエで広く、
よく二人でウィスキィーを飲みながらダーツに熱中したり、遊んだもんだ。
自分は誰よりも強いと思っていたが、彼も強かった。集中力が半端ではなかった。
若い頃、あのブロンディとバンドを組んでパンキー・ロック(ドラム)もやっていた。
そんな彼に、ある日、大金が舞い込んだ。彼のプロジェクトは売れるとすごい。
次の日、我々はワールドトレードセンターの超最高級レストランで、
超最高級赤ワインと超最高美味のステーキを喰った。
勿論彼の奢り。彼曰く、ダーツの所場代と掛け金の支払いとか言ってたが。
そんな彼が、逝ってしまった。
そしてあのツインタワーも、今は、もう 無い。 
Lightning Field Forever in Peace, for My Friend,  Walter De Maria.